第94話

「番(つがい)」という言葉を口にしたとき、カーターは怯えきった表情をしていた。彼がタイラーの方をちらりと見たのは、きっとタイラーが大騒ぎすると思ったからだろう。殺されるとでも考えていたのかもしれない。

しかし、タイラーはただ呆然と立ち尽くしていた。

「嘘だろ、マジかよ」とタイラーが言った。

「本当にすまない、タイラー」カーターが謝った。

「謝ることなんて何もないだろ。お前は俺のガンマで、こいつと番になったんだ。つまり、こいつが俺たちのパックハウスに引っ越してくるってことだ」タイラーは不満げに文句を言った。

私は彼に意地悪な笑みを向けてやった。

「あら、女神様。本当にいたのね」私は爆...

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