第108章

瑚夏は、見ているだけで吐き気がしそうだった。

一方の渡辺芽衣は、まるでそれを心地よく受け止めているように、柏木航平を見返して頬を染める。

けれど、自慢をやめる気はさらさらない。

「お姉ちゃん、知ってる? 西川さん、柏木家の代々伝わるサファイアの腕輪まで私にくださったの。映画の撮影が終わったら、そのまま婚約披露宴をする予定なんだ。お姉ちゃんも来てね。ドレスは先に用意しておいてあげる」

渡辺芽衣の言う西川さんとは、柏木航平の母親のことだ。

「へえ。家宝まで渡したってことは、よっぽど気に入られてるんだね」

瑚夏は目だけ笑わない薄い笑みを浮かべた。

「西川さんね、私をひと目見た瞬間から...

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