第117章

四宮薫が車を停めてドアを押し開けた。まだ閉めきらないうちに、品のない声が飛んでくる。

声の主は、つくり込んだ身なりだった。ブランドのワンピースに、ブランドのバッグ。なのに言い方だけが、やけに上から目線。

四宮薫の背後の車へ視線を流すと、相手は口角をきゅっと上げ、露骨な嘲笑を浮かべた。

要するに、あの車が気に入らないらしい。

薫の短気に火がつく。

「バンッ!」

ドアを勢いよく閉め、二歩で詰めた。胸を張り、冷笑で叩き返す。

「この駐車スペース、あんたが買ったの? だったら領収書でも見せて。邪魔、どいて」

揉める気配を察したのか、もう一台の運転席が開いた。

椎名遥が、すっと降りて...

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