第134章

「……私を抱きしめてて、苦しくないの?」

瑚夏がそう訊くと、結城朔夜は耳元へ顔を寄せた。

「抱かないほうが、もっと苦しい」

低く落ちた声が鼓膜を撫でる。男の息遣いに包まれて、瑚夏は身体が小さく震えた。

「俺のことは気にするな。すぐ落ち着く」

結城朔夜は瑚夏の頭をもう一度、胸元へそっと押し当てる。心臓の鼓動を、直接感じさせるみたいに。

……でも。

硬いものが当たっているせいで、さっきみたいに安心して鼓動を聞けるはずもない。

「……お風呂、入ってきたら?」

瑚夏は、このタイミングで反応してしまった彼を責めなかった。

欲があるのは当たり前だ。

反応しただけで、何かをされたわけ...

ログインして続きを読む