第139章

小林美子は、周囲の同調を見て取ると、途端に困ったような顔を作って口を開いた。

「だって……あの子、うちで十年以上も育てたんですよ。情がないわけないじゃない。でも実の娘が戻ってきてから、あの子はうちの子にいろいろ意地悪して……私だって、もうどうしようもなくて……」

さらに、わざとらしい善意をまとって結城朔夜を諭す。

「椎名社長はお立場が立場ですし、彼女にするなら身辺はきちんと調べたほうがよろしいですよ」

その言葉に、周りの視線が一斉に瑚夏へ向き、空気が変わった。

結城朔夜が小林美子の狙いに気づかないはずがない。

目を細める。危うい弧を描いた瞳が、瞬時に冷え切った。

「渡辺奥さん、...

ログインして続きを読む