第148章

「結城社長……な、なんでここに……?」

工藤海は全身が凍りついたように固まった。

結城紗耶が会社に顔を出すのは何年ぶりだ。偶然のはずがない。

――渡辺瑚夏の清算に来たのか?

わざわざ本人が出てくるなんて、相当腹に据えかねているに違いない。

工藤海は瑚夏の顔を鋭くなぞるように睨み、胸の内で毒づいた。昨日こいつが送金の段取りさえしてくれていれば、計画は完璧だったのに。

結局、最後に邪魔をしたのもこの女だ。

スマホを握る指に力が入る。瞳の奥を、ぬめった算段が横切った。

――まだだ。録音は改ざんしてある。金が取れなくても、結城紗耶の前で忠誠心だけは演出できる。

工藤海はすぐに媚びた...

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