第160章

山に着くと、結城朔夜がすでに白井志紀に指示して、先回りで場所を整えさせていた。

結城朔夜は瑚夏を車から抱き下ろす。

「気に入った?」

瑚夏は地面に足をつけ、夜風を肌で受けながら、周囲を見回した。

山頂の芝生。灯りが吊られ、テントが張られている。夜の闇の中に切り取られた小さな空間が、息をのむほどロマンチックで、どこか夢みたいに美しい。

頭上の夜空は、まるで天井のように近い。瞬く星が、手を伸ばせば届きそうなほど。

視線を下ろせば、K市の夜景が一望できた。ネオンがきらきらと瞬き、街全体が宝石箱みたいに光っている。

その瞬間、瑚夏はふっと思った。

自分はもう、ちっぽけじゃない。

手...

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