第26章

「なるほどね。K市から出ていかないと思ったら、渡辺直樹さんのところで金を吸うつもりだったわけ?」

渡辺直樹が眉をひそめ、不快そうに言う。

「美子さん、そんな言い方はやめてください。瑚夏ちゃんに」

「渡辺直樹、あんた、あの子に騙されてるのよ。恩知らずにもほどがあるわ」

小林美子は渡辺直樹を見据え、諭すように続けた。

「近づいてきたのは、あんたから甘い汁を吸うため。それだけよ」

瑚夏はゆっくり立ち上がり、やわらかな声で渡辺直樹を落ち着かせる。

「お兄ちゃん。言ったよね、怒らないって」

次の瞬間、瑚夏は視線を切り替えた。氷みたいな目が、小林美子の顔に突き刺さる。

――ぱしっ。

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