第33章

「兄さん……!」

結城朔夜の声はひどく震えていた。

結城悠馬の鼻先にそっと手を伸ばす。指先まで小刻みに揺れている。

息の気配を感じ取った瞬間、ようやく自分の心臓が動いていることを思い出したみたいに、胸が落ち着いた。

瑚夏もまだ頭がくらくらしていたが、真っ先に結城悠馬の手首を取って脈を診た。

「……ただ気を失ってるだけ」

その言葉で、結城朔夜は初めて気づく。

瑚夏の額に、赤く滲む傷があることに。

「……すまない」

低く沈んだ声。そこに混じる、はっきりした歉意。

「文句言ってる場合じゃないでしょ。早くお兄さんを病院に」

患者が先だ。

……それに、瑚夏からすれば。

この男...

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