第50章

渡辺明山はもともと、瑚夏の身元について半信半疑だった。だが小林美子の話を聞いた途端、いかにも残念そうな顔になる。

「このままじゃ……あの子、終わりだな」

「死んだほうがマシよ」

小林美子の瞳に、露骨な毒が浮かぶ。

瑚夏は渡辺明山の前で、小林美子が渡辺直樹の母を焚きつけたことも、直樹に死んでほしいと願っていたことも、全部暴いた。

事実だ。

けれど渡辺瑚夏の口から言われた瞬間――小林美子にとって、それは「言った側」が死ぬべき罪になる。

渡辺芽衣はソファの隅で黙り込んでいた。

今日の段取りを言い出したのは芽衣だ。直樹が発作を起こした以上、明山に責められるのが怖くて、一言も出せない。...

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