第52章

「目、腫れちゃってるじゃないか。あとで白井志紀にアイマスク何箱か持たせる。しっかり貼っておけ。叔母さんと祖母さんに心配かけるな」

結城朔夜は瑚夏をまっすぐ見つめた。表情は読めない。小言めいているのに、どこか痛むような優しさが混じる。

「いいの、私は――」

「行きなさい。ちょうど今の君じゃ運転もできないだろ」

渡辺直樹が瑚夏の言葉をやわらかく遮り、穏やかに諭した。

「言うこと聞いて」

その一言が、結城朔夜の胸に棘みたいに刺さった。

ふいと視線を逸らす。窓際の棚に置かれた瑚夏のバッグが目に入る。

朔夜は二歩で近づき、バッグを掴み上げた。

「行くぞ」

その口調には疑いの余地がな...

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