第70章

新井理子が完全に振り向き、入口に立つ人物が目に入った瞬間――目を大きく見開いた。

……身内じゃない?

じゃあ、自分はどうすればいいの。

新井理子の頭が、急に回らなくなる。

瑚夏は当然、反応する猶予など与えない。淡々と命じた。

「悪いけど、新井部長を外にお願い」

新井理子が呆然とする前で、瑚夏芽衣はにこりと笑う。

「新井部長。ノックの仕方がわからないなら、志那に教わって。志那は毎回ちゃんとノックしてから入ってくるから」

胸の奥で、どす黒い憎しみが煮え立つ。

けれど立場が圧としてのしかかる以上、正面から噛みつくことはできない。

――この借りは、必ず返す。

表で無理なら、裏で...

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