第79章

「どうした、怖じ気づいた?」新井理子は足を止め、ふっと振り返って瑚夏を見た。目の奥には、思いどおりに事が運んだという色が浮かんでいる。

瑚夏は椅子の背にもたれ、淡々と新井理子を一瞥した。

「この件、あなたが本部に上げなくても、私が上げる」

新井理子の眉がきゅっと寄る。

和解するんじゃなかったのか。

何を企んでる?

けれど、理子は自分の見立てが間違っていないと信じている。

「勝手にすれば? じゃあ、見ものだね」

瑚夏は続ける。

「スナイは工藤海の会社じゃない。彼は副社長。人事部長に特別許可を出せる立場じゃない」

春風みたいに柔らかい笑みのまま。

「あなたが言う特別許可は無...

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