第89章

金田静香はその面々を見渡し、首を横に振った。

「1か月も待つ必要はありません。1時間で十分です」

「は? どういう意味だよ?」

「何の話ですか?」

誰ひとり、すぐには理解できなかった。

「金田さん、それ……どういうことですか?」

岩崎光もぽかんとした顔で、言葉がうまく出てこない。

「渡辺社長の指示です。1時間以内に引き継ぎを済ませて、退社してください」

今度こそ、全員がはっきり意味を飲み込んだ。

さっきまでぎゃあぎゃあと騒いでいた一団が、ぴたりと黙る。

一人残らず目を見開き、呆然。

どうしていいかわからない、と顔に書いてあった。

彼らが集団で辞表を出したのは、工藤海の...

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