第9章

「使い切ったら、ママに言う」

瑚夏はそう言って、カードを大事そうにしまった。兄も母も――本当に金持ちだ。

もし惑霊茸の資金が足りなければ、遠慮なく追加でねだればいい。

「これはパパのだ」

椎名遠もまたブラックカードを一枚差し出し、にこにこ笑う。

「パパはママや兄ほど金持ちじゃない。500万だ」

逆にリアルだ。

「ありがとう、パパ」

瑚夏は数枚のカードをきちんとまとめてしまう。

向かいの椎名遥は、その光景に胸の奥がむずがゆくなるほど羨ましかった。けれど、それを顔に出すほど愚かじゃない。

彼女はいつだって上品で、取り繕うのが得意だ。椎名家の人間に、嫉妬なんて見せられない。まし...

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