第90章

「どうした?」結城朔夜が、訝しげに瑚夏を見た。

「お爺さんがお昼に滋養の強いスープを飲んだみたい。お爺さん、血圧も高いし脂質も高めでしょう? 私、脈を診て確認したいの。虚弱なのに補いすぎて、気が上にのぼってる可能性がある」

「いい」結城朔夜は考える間もなく頷いた。

看護師は、結城朔夜が同意書にサインしないまま「診る」「確認する」と言っているのが気に入らず、急かそうとした。

だが口を開いた瞬間、結城朔夜の鋭い視線が飛んできて、言葉が喉で凍る。

院長からは「中の患者は特別に大事にしろ」と釘を刺されている。自分の出る幕じゃない。

瑚夏はバッグから鍼灸の道具入れを取り出した。車に一式積ん...

ログインして続きを読む