第95章

林田日菜子の表情を見ても、瑚夏はまつ毛を伏せたまま、澄んだ瞳にいっさい感情を映さない。

そして改めて林田日菜子へ視線を戻し、微笑んで労った。

「お疲れさまでした」

資料を二枚ほどめくり、続けて尋ねる。

「この資料だと、前回のお見積りは3500万よね。先方は、どう言ってる?」

林田日菜子は髪をさっとかき上げてから答えた。

「高すぎるから、もう少し下げてほしいって」

「3500万だと、利益は何%取れるの?」

「いつもなら4%譲れば契約できます。仮に先方に粘られても、うちは24%は残りますから。どう転んでも損はしません」

瑚夏はそのまま、林田日菜子を静かに見つめる。

声は柔らか...

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