第97章

中村大和は前田東をちらりと見た。前田東が目で合図を送る。中村大和は腹をくくって席に着いた。

「志那、前田さんの分も一つ、持ってきて」

「渡辺社長、俺……胃が弱くて。食堂の料理って唐辛子入ってるじゃないですか。ちょっと無理です」

前田東が慌てて断る。

「辛くないのにすればいい」

「いえ、本当に。家のほうがもう届けてくれるんで」

瑚夏が鼻で笑った。

「食べられないの? それとも、食べられないふり?」

その瞬間、前田東と中村大和が視線を交わす。前田東が声を荒げた。

「渡辺社長、それ、どういう意味ですか?」

瑚夏は答えない。

視線を、中村大和へ。

中村大和は箸でトレーの中身を...

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