第7章

沙良視点

翌朝早く、私は警察署へ直行した。

「正式に被害届を提出したいんです。昨夜、性的暴行を受けそうになりました」冷たい取調室の椅子に座り、私は女性警官に昨夜の出来事をできる限り冷静に語った。

「目撃者や証拠はありますか?」彼女は尋ねた。「現場に防犯カメラは?」

心が沈んだ。「いいえ……部屋にカメラはなかったし、音楽がうるさくて、私が叫んでも誰にも聞こえなかったと思います」

「そうなると難しいですね」警官は困ったようにため息をついた。「証拠がなければ、事件として立件するのは困難です」

私が絶望しかけた、その時だった。取調室のドアがノックされた。

「水原沙良さんはいますか...

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