第151章 褒めてるじゃないか

第1章

水瀬遥人は、神崎彩の手が届かない場所へ器をひょいと移しながら、からかうような、それでいて笑みを堪えるような表情を向けた。

「いつ俺が不味いなんて言った?」

「よくできてるって言ったじゃないですか……」

「だから、褒めてるだろう?」

「でも、二度と作らなくていいとも言いました」

「どこかおかしいか?」

神崎彩は言葉に詰まった。

この男の言葉は、一つひとつ切り取れば何の問題もない。だが組み合わせると、どうしてこうも奇妙に聞こえるのだろう。

明らかに嫌がっているではないか。

彼女は恨めしげな眼差しで彼を睨んだ。

水瀬遥人は構わず箸を進め、最後の一口まで優雅な所作で麺を...

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