第161章 男心、海底の針

神崎彩は冷ややかな笑みを浮かべた。

「九条莉奈はもう病院にいるんじゃなかったの? もし水瀬遥人が本気で彼女を潰すつもりなら、悠長に入院して治療を受ける隙なんて与えると思う?」

橘薫は呆気にとられた。

「どういうこと? 水瀬遥人は彼女に手出ししないってこと?」

神崎彩は沈黙を守った。

橘薫は続けた。

「わけがわからないわ。前回、九条莉奈があんたにあんなことをした時、水瀬遥人は九条家の訴訟ルートを全部封じたじゃない。あんたが口添えしなきゃ、彼はいっそ九条莉奈を病院で野垂れ死にさせてたはずよ。

なのに今回、九条莉奈に刺されたっていうのに、うんともすんとも言わないなんて。あの男、一体何...

ログインして続きを読む