第164章 間接キス

その一言で、神崎彩は再び頭が真っ白になった。

そこからの約一分間、彼女は天と地がひっくり返るような恐怖の渦に飲み込まれ、信じられないといった様子で茶碗と箸を凝視していた。

彼の手料理を食べたこと以上に彼女を戦慄させたのは、彼が使った箸と茶碗をそのまま使ってしまったという事実だ。

これって……間接キス?

もしかして、わざとだと思われたんじゃ?

この気まずすぎる状況、どう切り抜ければいいの?

出前?

そうだ、出前を取ろう。

我に返った彼女は、今の出来事はなかったことにしようと決め、慌てて口を開いた。

「デリバリー、頼みますね」

そう言いながら、自分のスマートフォンを探そうとす...

ログインして続きを読む