第168章 この勘定はどう計算する

彼女は、誰かに借りができることを何より恐れていた。

だが、水瀬遥人が本気で考え込んでいる様子を見て、彼女は慌てて付け加えた。

「私にできることなら何でもします。ただ、法に触れるようなことや、道徳に反することは断固お断りですが」

その大真面目な態度は、まるで彼が殺人や放火でも命じると本気で危惧しているかのようだ。

水瀬遥人は呆れたように言った。

「じゃあ言ってみろ。君に何ができる?」

神崎彩は考えた。

彼は天に選ばれし寵児であり、地位も名誉も富も全て持っている。自分にできることなど、砂粒ほどもない。

「じゃあ……五年間、あなたの元で働きます。給料はいりません。無料の労働力として...

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