第17章 利己的で偽善的

リビングで、西園寺蓮はふとスマートフォンから顔を上げ、その光景を目にした。

言葉にはできないが、最近の神崎彩はどこかおかしかった。

まるで指の間から零れ落ちる砂のように、掴みどころがない。

その感覚が、彼の胸に得体の知れない不安を広げていく。このままでは、彼女がどこか遠くへ行ってしまうような気がしてならなかった。

神崎彩が部屋に戻ろうとした時、彼は思わず呼び止めた。

「話をしよう」

「何の話?」

彼女は淡々と問い返す。

「お前……」

蓮は少しの間沈黙し、意を決したように口を開いた。「そんなに仕事が好きなら、西園寺グループに戻れ。マーケティング部へ」

彼女の心がマーケティン...

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