第19章 さすが彼の奥様

「神崎彩!」

西園寺百合子は激情に駆られ、バンッと音を立てて机を叩いた。震える指先を彼女に突きつける。

「いい加減になさい! 私があなたのお金を着服するとでも言うの?」

「さあ、どうでしょうね?」

神崎彩は動じることなく、不敵な笑みを浮かべた。

「利益は確定させてこそですから。自分の権利は自分で守らないと」

西園寺百合子は悟った。自分の持てるあらゆる手練手管も、神崎彩の前では何の意味もなさないのだと。

彼女はまるで綿の塊のようだ。いくら押し込んでも、捻り潰そうとしても、何の手応えもない。

長い沈黙の後、西園寺百合子は歯噛みしながら一文字を絞り出した。

「……いいわ...

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