第214章 ボスをそこまで庇うなんて

水瀬遥人は彼女の態度に毒気を抜かれたように笑うと、手にしていた絵を放り出し、強引に彼女を抱き寄せた。

その腕は、腰が折れんばかりにきつく巻きついている。

彼は彼女を見下ろし、危険な香りを漂わせながら囁いた。

「随分と身内びいきだな? 俺――『ボス』に対して、そこまで必死になったことなんてあったか?」

神崎彩は言葉に詰まった。

「……」

しばらくして、彼女は溜息交じりに答えた。

「もし水瀬社長に危険が迫ったら、私が真っ先に盾になりますよ。それでいいですか?」

その言葉に嘘はない。

何しろ命の恩人なのだ。一生かかっても返しきれない恩がある。

ところが、水瀬遥人は素っ気なく言い...

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