第225章 10分間キスして

だが、当の本人は何食わぬ顔で、ティッシュペーパーを手に取ると彼女の脚に残った水滴を丁寧に拭き取った。そして、その幽玄な瞳を再び彼女に向けた。

「ページを戻せ。続きを読め」

神崎彩は心底参ってしまった。

せっかく書斎に漂っていた艶めかしい空気から逃げ出したというのに、どうして自分からまた墓穴を掘るような真似をしてしまったのか。

これ以上読み続けることなんて、できそうにない。

手にした本が、まるで焼けた火箸のように熱く感じられる。

彼女は彼を見ようともせず、本を彼に向かって放り投げた。

「読みたきゃ自分で読んで。私はもういい。花を見てくる」

そう言い捨てると、彼女は逃げるように立...

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