第232章 覚醒した堕落

神崎彩は、気でも狂いそうだった。

この、息が詰まるほどの距離。

この、どうしようもないほどの色気。

空気はどんどん熱を帯びていく。

頭の中がふわふわとして、思考が定まらない。

制御の効かない脳裏に、今朝のキスの記憶が蘇る。あんなにも優しく、あんなにも甘く絡みつくような……。

いけない、だめだ。

残ったわずかな理性が、強引に意識を引き戻す。

彼女は無理やり笑みを浮かべて言った。「あの……雲瀬さんとのことは、その……どうあろうと社長のプライベートなことですから、私に話す必要はないんじゃ……」

声はどんどん小さくなっていく。

仕方がない。彼の深く、圧倒的な圧力を放つ視線に晒され...

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