第249章 邪魔さえしなければいい

水瀬遥人はすぐには答えなかった。

ただ目の前に座る神崎彩の背中に視線を這わせ、やおら立ち上がる。

近藤七海と高杉進介は、彼が席を外して通話するつもりなのだと思った。

だが、予想は裏切られた。

水瀬遥人は席を変えただけだったのだ。

それも、神崎彩の真後ろの席へと。

背中合わせの位置だ。

彼は気だるげに背もたれに身を預ける。

距離が、ぐっと縮まった。

神崎彩が耳をそばだてるまでもなく、受話器から漏れ聞こえる声も、彼の息遣いさえもがはっきりと伝わってくる。

そこでようやく、水瀬遥人が口を開いた。

「ああ、会ったよ」

広住素子の弾んだ声が響く。

『会えたのね、よかったわ。あ...

ログインして続きを読む