第262章 値段を言え、示談にしよう

第X章

しかし、ナイフが九条莉奈《くじょう りな》の身体を貫こうとした刹那、暗器のごとく飛来した李《すもも》の実が、高群千紗《たかむら ちさ》の手首を強打し、その手から凶器を叩き落とした。

カラン、と乾いた音を立ててナイフが地面に転がる。

千紗は弾かれた方向を睨みつけ、怒声を上げた。

「高杉晋助《たかすぎ しんすけ》、何の真似⁉」

晋助は悪びれる様子もなく、ただ肩をすくめてみせた。

九条莉奈が報いを受けるべきだというのは、彼も同意だ。

だが、その報いは法によって裁かれるべきものであり、誰かがその命と引き換えに罪を背負うべきではない。

千紗は構わずに、すぐさま地面のナイフ...

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