第272章 彼を愛してしまったの?

チャイムが執拗に鳴り響いている。

神崎彩は仕方なくベッドを降り、玄関へ向かった。

幸いなことに。

水瀬遥人ではなかった。

だが、立っていたのは西園寺蓮だった。

西園寺蓮の顔色は最悪だった。一睡もしていないのか、目の下には濃い青黒い隈(くま)が浮かんでいる。ネクタイはだらしなく緩み、全身の毛穴という毛穴から、隠しきれない凶暴な戾気が滲み出ていた。

こんな恐ろしい形相なら、まだ水瀬遥人のほうがマシだ。

西園寺蓮というクズに、理屈など通じるはずもない。

彩は瞬時に反応し、ドアを閉めようとした。

だが、蓮は彼女の動きを読んでいた。即座に手を伸ばし、ドアをこじ開けようとする。

彩は...

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