第273章 その機会をうちの若旦那に譲ってくれ

神崎彩の怒りは頂点に達し、最後の言葉は喉の奥から絞り出すような怒号となった。

西園寺蓮は押し黙った。

彼女の言葉に込められた嫌悪感が、彼の胸を鋭く刺したのだ。

これでようやく彼も閉口したか、と神崎彩は思った。

少しは人間らしい殊勝な心を取り戻したのかと。

だが、彼の口から飛び出したのは信じがたい言葉だった。

「いつ俺がそんなことを言った? 言いがかりはやめてくれ。もし言ったとしても、それはそうせざるを得なかったからだ」

神崎彩は絶句した。

以前はどうして気づかなかったのだろう。このクズ男が、ここまで恥知らずだったとは。

西園寺蓮はすがるような目で彼女を見つめた。「彩、騙すつ...

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