第277章 辛ければ辛いままでいい

今回ばかりは、神崎彩も強がりを言わなかった。

彼女は淡く微笑み、坦然と認めた。

「ええ、抗えないわ。でも結局のところ、抗わずに自分の心に従ってしまえば、その先にあるのは天変地異のような結末だけよ」

「そうね。確かに水瀬社長の立場は特殊だし、彼と付き合うのは苦労が多いと思う。でも、彩ちゃんが結末を気にする必要はないわ。水瀬社長が何とかしてくれるはずよ」

橘薫はそう励ました。

「水瀬遥人の家柄を考えれば、彼が将来娶るべきなのは、家柄の釣り合う女性よ。私なんて、彼の人生におけるほんの小さなエピソードに過ぎないわ」

神崎彩は静かに首を振った。「彼が背負っている責任は重すぎるし、天秤にかけ...

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