第300章 他のことではどうしてこんなに勇敢じゃないの

柚月徹はそこで言葉を区切り、声を一段と低くした。「お前ら知ってるか。一週間前、俺の叔母がすでに曇市に入ってたってこと」

「ああ。あの日の警察署の前で見かけた」

「今日にはもう川市に着いてる。しかも彼女だけじゃない、柚月匡志の奴まで来てるんだ。俺もさっき情報を手に入れたばかりだがな」

話が終わらぬうちに、彼の瞳に冷ややかな光が宿った。

神崎彩は一言も発さなかったが、二人の会話を聞きながら、一週間前に警察署の前で遭遇したあの女の姿を頭の中に思い描かずにはいられなかった。

あの妖艶で蠱惑的な女、おそらく一筋縄ではいかない相手だ。

まさか九条莉奈は今回も、あの女に助け出されるというのだろ...

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