第301章 釣り合わない

艶(つや)めかしく機嫌を取るような声色に、神崎彩(かんざきあや)はあきれ果てた。

一体、自分のどこが怒っているように見えたというのだろうか。

どうしてこの男は、いつもこうも誤解を招くような、艶めかしい言葉ばかり口にするのだろう。

仕方なく、彼女は大人しくマスクをつけ、二人の後についていくことにした。

個室のドアの前まで来たとき、水瀬遥人(みなせはると)のスマートフォンが再び鳴った。

彼は電話に出るため、柚月徹(ゆづきとおる)と彩に先に入るよう促した。

ドアを開けると、室内にはすでに二人の男性が腰を下ろしていた。

一人は、先ほど彩が顔を合わせたばかりの柚月匡志(ゆづきまさし)だ。...

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