第310章 誰かの機嫌が悪い

十分後、神崎彩と栄沢幸子は前後してそのアダルトグッズショップに到着した。

場所は繁華街の裏通りにあり、喧騒から離れた静かな環境に佇む、こぢんまりとした上品な洋館だった。

店名は『歓楽谷』。

店先には色とりどりの薔薇が飾られている。どれも瑞々しく鮮やかな花を咲かせ、むせ返るような甘い香りを漂わせており、なんともロマンチックで妖艶な雰囲気を醸し出していた。

中へ足を踏み入れると、神崎彩はまるで薔薇の海に溺れたかのような錯覚に陥った。壁には、淡いピンク色をした蕾の薔薇の壁紙が一面に貼られている。

神崎彩の頬が、再び熱を帯び始めた……

今から逃げ出しても間に合うだろうか?

本当は、中に...

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