第314章 寝てすぐ逃げる

神崎彩はその強烈で真っ直ぐな視線から逃れることができず、顔を熟れた林檎のように赤く染めた。黒い艶やかな髪が、波打つ胸元に絹糸のようにはらりとこぼれ落ちる。

水瀬遥人は、骨抜きになってしまった彼女の身体をその腕の中に抱き寄せ、自らの腕を枕にさせた。片手で彼女の頬を優しく撫で、乱れた髪をそっと掬い上げる。

彼女の顔を胸元に押し当てると、彼は低く掠れた声で耳元に囁いた。

「痛くしなかったか……?」

「あっ、少しだけ……」

この男は、今日まで女性経験が全くなかったのではないかとすら思えてくる。

これが彼にとっての初めてだったのだろうか。

命を削るかのように、狂おしいほど彼女を求めてきた...

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