第316章 ここではやめて

話している間、温かい息が神崎彩の耳をくすぐった。

低く沈んだその声は、神崎彩の耳にしか届かない。

神崎彩は一瞬頭が真っ白になり、頬を真っ赤に染めた。

どうしてこの男が、わざわざ給湯室にまでやって来たの?

しかも彼女を抱き寄せ、耳元で囁いているなんて。

何より腹立たしいのは、彼女の独り言を盗み聞きしていたことだ。

彼女はムッとして言った。「今朝は私が悪かったです。八つ当たりするべきじゃありませんでした。でも、盗み聞きするなんて、あまりにも無作法じゃありませんか?」

水瀬遥人は手に持ったマイボトルを彼女に見せびらかした。「昼に会食があってね、七海が代わりに行ってくれたから、自分で水...

ログインして続きを読む