第320章 火をつけるだけで、消さないのはダメだ

ほどなくして、ドアが開いた。

顔を出したのは、水瀬遥人だ。

神崎彩の姿を認めるや、その涼やかな眉間にふっと笑みが浮かんだ。彼は低く優しい声で尋ねる。

「どうした? 眠れないのか?」

「誰のせいだと思ってるんですか。閻魔がずっと吠えてるのに、眠れるわけないじゃないですか。あの子に何をしたんです?」

「俺が何をするって言うんだ?」

ちょうどその時、バルコニーの方から閻魔がやってきて、水瀬遥人のガウンの裾をくわえ、再びバルコニーへと引っ張っていった。

水瀬遥人は神崎彩に視線を送り、無言で訴えかけた。ほら見ろ、あいつが遊びたがってるだけで、俺のせいじゃない、と。

神崎彩は呆れ果てた。...

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