第329章 君は本当に馬鹿なのか、それともとぼけているのか

西園寺蓮は顔を曇らせ、黙ったまま神崎彩を睨みつけ、道を譲ろうとはしなかった。

一方、柚月利佳は興奮した面持ちで水瀬遥人を見つめている。

この得体の知れない恐怖を、一体誰が理解できるだろうか。

一人は神崎彩しか目に入っていない。

もう一人は水瀬遥人しか目に入っていない。

まるで二人の変質者だ。

突然、西園寺蓮がひどく意地の悪い笑みを浮かべ、柚月利佳を水瀬遥人の方へと突き飛ばした。「ほら、お前の大好きな綺麗なお兄ちゃんのところへ行きな。あいつもお前が気に入ってるから、きっとたっぷり可愛がってくれるさ」

柚月利佳は警察署で水瀬遥人に一喝されたことなどすっかり忘れているらしく、彼を前に...

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