第330章 今夜は帰らないで

だめだ、これ以上は見つめていられない。

彼女は慌てて身をかわそうとした。

だが水瀬遥人は彼女の腰に直接手を回し、ぐっと手前に引き寄せた。

彼女の体は、彼の胸板にぴったりと密着する。

彼は彼女の唇に軽く触れ、どういうわけかひどく掠れた声で囁いた。

「今夜は帰らないでくれ。いいだろう?」

その声に危うく籠絡されそうになり、神崎彩は慌てて理性を引き戻した。

「だめよ、帰るわ」

彼女はきっぱりと拒絶した。

今夜はゆっくり休まなければならない。そうでないと、足が痺れて動けなくなってしまう。

水瀬遥人は言った。

「俺を一人置き去りにする気か? 万が一、あの小娘が俺の部屋の窓によじ登...

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