第35章 浮気するならもっとマシな相手を選んでよ

「トイレ!」

宮本エレナは振り返りもせずにそう言った。

橘薫と神崎彩は、彼女が本当に手洗いに行ったのだと思い、特に気にも留めなかった。

しかし、十分以上経っても宮本エレナは戻ってこない。

不吉な予感を覚えた神崎彩は、橘薫に言った。「すぐに彼女に電話して」

橘薫が慌てて発信すると、着信音が病室の中で鳴り響いた。

橘薫は眉をひそめた。「どういうこと? こんなに長く出かけるのにスマホも持たずに?」

神崎彩の顔色がさっと変わる。「彼女、きっと西園寺蓮のところへ談判しに行ったのよ。早く追いかけないと。あの子、無茶するわ」

言い終わるや否や、彼女は自らの手背に刺さっていた点滴の針を引き抜...

ログインして続きを読む