第352章 この男を忘れていた

神崎彩は密かに考えていた。昨晩、父は水瀬遥人の家に泊めてもらったのだから、朝食まで彼の家でご馳走になるわけにはいかない、と。

父を連れ出して外食するか、いっそ水瀬遥人と田中さんも誘って自分がご馳走しようと計画していたのだ。

これ以上、水瀬遥人に迷惑をかけるわけにはいかない。

だが、ドアをノックして中に入ると、目の前の光景に思わず目を疑った。

父の神崎誠治と田中さんが、アイランドキッチンに並んで立ち、一緒に料理をしているではないか。

年格好が近い二人は共通の話題が多いらしく、料理の手を動かしながらも楽しそうに談笑している。

その場には高杉進介と近藤七海もいた。

近藤七海はバルコニ...

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