第355章 市役所へ行く

水瀬遥人にそう指摘され、神崎彩は途端に緊張を走らせて辺りを見回した。

「ふんっ」

水瀬遥人は容赦なく自分の腕を引き抜き、構わず前へ歩き続ける。

その唐突な行動に、神崎彩はすっかり呆気に取られてしまった。

要するに、彼は彼女を試していたというわけか。

神崎彩は一瞬ぼうっとした後、改めて周囲を確かめたが、他人の気配はない。

彼女は一つため息をこぼし、再び彼を追いかけた。

水瀬遥人は恨めしそうな視線を彼女に向けた。「神崎さんは実に思慮深いですね。たった一つの質問に、そこまで時間をかけて考えるとは」

「……」

また嫌味?

怒らない、怒らない。

彼女は彼の手を引き寄せ、宥めるよう...

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