第356章 僕の彼女は僕の薬

深呼吸。

深呼吸。

神崎彩は二度、三度と深く息を吸い込み、彼に向けて甘い笑みを浮かべた。

そして、手に提げた袋を軽く振ってみせる。「ピスタチオ、ちゃんと買ってきたわよ。ピスタチオだけじゃなくて、カシューナッツにピーカンナッツ、ドラゴンフルーツ、それにマカダミアナッツもね」

これで十分でしょ?

水瀬遥人は唇の端を吊り上げ、彼女と同じように穏やかな笑みを返した。「その場しのぎだ。効果はない」

神崎彩は言葉を失った。

この人は『心を楽しくする薬』でも買ったというのだろうか。

彼女はもう何も言いたくなくなり、無言のままアクセルを踏み込んだ。

四十分後、車は中山街二十七番地に到着した...

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