第375章 勤務時間中、お見合い相手と電話する

天音雫のことは恐れていないが、無用な争いなど御免だった。

水瀬遥人のいるフロアへ移れば、少なくとも静寂は手に入る。

どのみち戦火を交える運命にあるのなら、せめて一時の平穏を満喫したかった。

オフィスに戻ると、孟芯が荷物をまとめているところだった。

神崎彩はひらひらと手を振り、声をかける。

「自分の仕事に戻っていいわよ。あとは自分でやるから」

「そういうわけにはいきませんよ。近藤さんからわざわざ電話で、お手伝いするようにって言われましたから」

嬉しそうに立ち働く彼女の姿に、神崎彩は目を細め、少しばかり凄みを利かせた声を出す。

「なんだか、私が追い出されるのを喜んでいるように見え...

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