第385章 時間はそんなに貴重で、どうでもいい人に無駄にしないでください

清冽で、わずかに沈んだ声。その響きには、疑うことすら許さない威厳があった。

神崎彩と天音雫が同時に視線を向ける。

そこに立っていたのは、水瀬遥人だった。

水瀬遥人は淡々としていて、表情らしい表情がない。なのに、近づくだけで息が詰まるような圧がある。

――許可もなく、自分の仕事場のフロアに踏み込まれるのが、気に食わないのだろう。

彼の後ろに控えていた近藤七海は、なんとか「平和大使」みたいな笑顔を保ちながら、この背筋のぞわつく修羅場を救おうとしていた……もっとも、無駄だと分かっていながら。

天音雫の顔には気まずさが浮かんだが、ここ二日でその「気まずさ」には慣れたのか、すぐに持ち直す。...

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