第391章 ますます風格が出てきた

天音雫は広住素子の名を真正面から持ち出した。言いたいことは明白だ。自分を断るということは、広住素子の顔に泥を塗るのと同義――そう突きつけてきたのである。

神崎彩に「拒む」という選択肢を捨てさせるつもりなのだろう。

神崎彩が気づかないはずがなかった。天音雫は広住素子を盾に、露骨に圧をかけてきている。

彩は淡く笑ってみせる。

「天音さん、何をおっしゃるんですか。嫌だなんて思うはず、ありませんよ」

「じゃあ、また急に用事ができたとかで……遥人に呼ばれていなくなったりしない?」

――要するに。『また遥人のところへ行って告げ口でもするつもり?』という含みだ。

けれど神崎彩は、そんなふうに...

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