第399章 九条莉奈が連れ去られる

もう一方――通り沿いの夜市。

神崎彩と橘薫は、屋台の明かりの下で簡単なものをつまんでいた。

橘薫は、手元に置いた三つの小箱へ、何度も視線を落とす。細工のいい、いかにも高そうな箱だ。

神崎彩が買ったブローチだった。三人分をまとめて橘薫に渡し、「ついでに渡しておいて」と言ったもの。宮本エレナと栄沢幸子の分まで、だ。

橘薫は内心、少し引っかかっていた。どうせ二人で食事するなら、最初から宮本エレナも栄沢幸子も呼べばいいのに、と。

なのに神崎彩は、橘薫だけを呼んだ。――今夜は賑やかにしたくない。そんな空気が、ありありと伝わってくる。

そのうえ、神崎彩はどこか上の空だった。

橘薫は探るよう...

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