第501章 彼が来た

そのとき、現場の空気はすっかり凪いでいた。

神崎彩が、もう一度口を開く。

「みなさんが認めたくなくても、心のどこかでは分かっているはずです。この山地の所有権は水瀬コーポレーションにあります。正式な土地の権利書も、林地の権利書も、必要な手続きはすべて整っている。法的にも保護されています」

言い終えると、草間悠夏が数冊の書類を差し出した。神崎彩は一冊ずつ広げ、皆の目の前に示していく。

人々の顔色が、みるみる険しくなる。

神崎彩は群衆を見渡した。声は淡々としているのに、一言一言が重い。

「これまで会社が管理してきたからといって、山林が『無主』だったわけじゃありません。まして、好き勝手に...

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